今回のいい寺は・・・
京都・東寺(2) それぞれの役割です。
東寺の境内には、竹で囲われた枝垂桜がありました
桜の枝が竹垣で護られながら、型に沿って伸びていますね。
型にはめるより自由に成長させた方が自然で良いのですが、
素晴らしい桜に育てるためには最初が肝心なのでしょう。
東寺のシンボル 五重塔です。
高さ57m、見事な組み方で造られています。
何百年と経っても朽ちることなく、力強さを感じますね
その一層目で、四方の隅木を支える邪鬼がいました。
邪鬼は四天王に踏みつけられて、仏教の世界では虐げられて
いますね。
「他人を騙したり、惑わしたりしたら仏の世界に入れませんよ」
と諭しているのでしょう。
こちらは京都・六角堂にある香炉です。
香炉の足が邪鬼となっています。
大変重そうで、苦しそうです。
「邪鬼や天邪鬼のように和を乱す輩はダメですよ!」
仏具の形の中にも教えがあるのですね。
南大門から入って目の前の一番大きな建物が金堂です。
正面には上段と下段の屋根の間に中段の屋根があります。
高いところに扉があるので、内部の本尊に日が当たり、
扉を開けると外から本尊の姿が拝めそうですね
(絵葉書より)
金堂内には本尊《薬師如来》が祀られています。
台座の下には、薬師如来を守る十二神将が四方八方に
睨みをきかせています。
十二神将はそれぞれに武器を持ち、邪鬼を踏んづけています。
静寂な堂内で暫く見入ってしまいました。
正式名称は《東方瑠璃光薬師如来》です。
日光菩薩、月光菩薩の脇侍菩薩とあわせて《薬師三尊佛》と
いわれています。
そんな説明もいらないぐらい素晴らしい仏様でした。
金堂の後ろには講堂があります。
金堂より一段低く、屋根も一層の入母屋造りとなっていますが、
堂内に入ると金堂以上に見事な仏像21体が大日如来を中心に
《立体曼荼羅》の世界を表しています。
ここには四方に四天王がみえて、曼荼羅の世界を護っています。
迫力のある仏像の姿に、自然と畏怖の念をいだきますね。
この迫力とバランス、日本の芸術水準の高さを物語っています。
いつの時代でも必ず現れる邪鬼・天邪鬼…私達の心のどこかにも
棲みついているかもしれませんね。
この世で邪鬼や天邪鬼が暴れないように、厳しい姿の仏様も必要
なのでしょう。
私達の心の変化に合わせて優しい姿や厳しい姿の仏様が
いるのでしょうか。
講堂には、それぞれに重要な役割をなす仏様が祀られて
立体曼荼羅を形成しています。
この構想は弘法大師・空海によるもので、大日如来を中心にした
曼荼羅で泰平の世を願ったのでしょう。
そして、曼荼羅の完成を見たのでしょうか?
仏様の開眼法要は、弘法大師・空海没後に行われました。