イタリア★革の学校《サンタクローチェ教会》

今回のいい寺は・・・
イタリア《革の学校サンタクローチェ教会》です♪

教会は地域のコミュニティの中心的役割を担っています
今、この世界で生きている人々を如何に正しく導くか・・・
宗教の本来の意味は、この部分にあるのでしょうね!

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イタリア・フィレンツェ中心部から少し南東、アルノ川に近い
サンタクローチェ教会》は、13世紀にフランチェスコ派の
修道士が建てた教会です

昔から教会で使う本・物入れ・靴・袋物など色々な革製品
作っていました。
この修道士達は革工芸の専門家集団として、かなり知られた
存在で、技術も一流だったそうです

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サンタクローチェ教会を訪れると、奥には昔の修道院から
技術と伝統を受け継いだ工房《革の学校》があります。
ここは観光客が自由に見学できる工房と売店になっています

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《革の学校》が出来たきっかけは・・・
第二次世界大戦後、戦争によって残された戦争孤児たち
でした。

教会の中にある工房《革の学校》とは、実はこの戦争孤児
たちに技術を身につけさせ、そして世の中で独り立ちできる
ようにと、戦後間もなく開設された施設でした。

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経営にあたったのは神父さんの他、一般から募集した
革職人たちが先生となって働いていました。
マエストロ》と呼ばれるような優秀な人材ばかりだった
そうです。

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戦後、《少年の町》というものが作られました。
少年たちに一つの自治区を与え、彼ら自身でそこを治めて
いくということにより、健全な社会生活のルールを身に付け
させるといった趣旨のものです。

混乱した戦後社会の中で行き場を無くしたり、非行に
走る戦争孤児たちを救い、健全な成長を助けるための
場として評価され、たくさんの子供が参加しました。

しかし、将来本当の社会の中でどうやって自立させる
べきかという大きな問題が発生しました。

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そこで、修道院が持っている革工芸の技術をもとに、
徒弟学校を作り、子供達に革職人の技術を身につけ
させ、自立させようとしました。

一人前になるのには、4~5年かかりましたが、結果は
大成功でした。

フィレンツェにある有名な革製品会社・グッチ
フェラガモなども、卒業生を採用してくれるようになりました。

中には自分で店を開き、今では立派な経営者になっている
卒業生もいるそうです。

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80年代になると、イタリアでは、手工芸に従事する
職人の世界を大きく変えるような出来事が起こりました。

法律が変わり、若者をほとんど無給に近い形で働かせ、
その代わりに仕事を覚えさせるということが出来なく
なりました。

見習いに給料を払わなければならないのは、採算に
合わないと、徒弟をとる工場が急激に減っていきました。
また一方で、この時代になると、イタリア経済の急激な
発展とともに若者の職人離れが目立ってきます。
技術の継承が難しくまりました。

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革の学校》も、経営は教会の手を離れ、徒弟養成工房
から、授業料を取って革工芸全般を教える私立の
革細工技術者養成学校になりました。

地元のイタリア人はほとんどいなくなり、世界中から
生徒が集まってくるようになりました

先生たち、つまり『マエストロ』たちは、毎日せっせと
仕事に励み、作ったものは売店で売る。
バッグ類と革製の箱が主たる製品であり、その製作を
手伝ったり見習ったりするのが授業です。

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学校には『マエストロ』=先生がいました。
デザイナーも兼ねているので、型紙も自分で起すそうです。
しかし、デザインのことばかりを考えるのではなく、
部品となる革の性質を知り尽くしていなければ、
いざ組立というときにうまくいかないそうです。
ハンドバッグ一つでも、何十という革や金具の部品を
寄せ集めて作らなければならないからです

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自分たちは職人だから何かを創造する、ひとつの物を
作り上げていくという過程に満足感があるのだ。

だそうです。
決して同じ仕事の繰り返しではないそうです。

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機械は作業を助けてくれるけれど、機械を全面的に取り入れて
いるような工場は、例えば財布を作るにしてもある人は裁断、
ある人はポケットばかりを担当することになります。
そこで働く若者は、仕事全体を習わないことになります。

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革の質を見分けるのも革職人の大切な仕事です
最近は革製造の技術が進み、良いものと悪いものとの
見分けがとても難しくなったそうです。

革の良し悪しを判断するには、見て、手で触れてみて、
経験で判断する・・・方法はこれしかないでしょうね。

『仕事を覚えるのは難しいよ。
パッシオーネ、つまり熱心にやることが必要なんだ。
熱心に、熱心に、熱心に。』

次はイタリアの職人街を散策したいと思います

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