今回のいい寺は・・・
修養会に参加する子供たちです
猛暑の中、芙蓉の花は力強く咲いていました
中国では、「蓮の花」を《芙蓉》と言います。
そこで、水の中に咲く蓮を水芙蓉、木に咲く花を
木芙蓉と言って分けたそうです。
日本では、蓮を芙蓉と呼ぶ習慣がありませんから
芙蓉といえば木芙蓉ですね!
芙蓉は朝に先、夕方には萎んでしまう一日花です
早朝に開花したときには本来の淡紅色で、夕方になるに
したがって次第に色が濃くなり、そして萎んでいきます。
その一日を大切に咲いて役目を終えていきます。
参道の掲示板には、参詣者に伝える言葉が書いてありました
私たちは、どうしても過去にこだわり、先の先まで考えて
《今》を犠牲にしてしまいますね・・・
昼に到着した子供たちは修養会の始まりの挨拶の後
早速、川に遊びに行きますが、父兄は和尚さんと
話をする時間を持ちます。
ここで子供の成長を聞いたり、相談を受けたりする
そうです。
床の間には、「今日是好日」の掛け軸が飾られて
いました
今日、今という瞬間は二度と戻ってはきません。
この今一日を悔いなく精一杯生きてゆけることが
できれば、そこに好日があります。
子供たちの三日間の生活が好日となりますように
修養会の裏方です。
庫裏では、奥さんが子供たちの食事を作っています。
夏休み中つづく修養会の食事を賄うのですから大変
でしょうね!
三升炊きの炊飯器で炊いたご飯を飯器に移します。
修行道場では、お米に麦を混ぜて炊きます
お米だけのご飯は、特別な日に食べるだけだそうです。
最近は、麦飯は健康食というイメージですね!
おかずは、子供が好きな揚げ物とポテトサラダです。
ごちそうとはいきませんが、奥さんの愛情がこもって
います
和尚さんが育てた野菜の漬物です
ご飯、味噌汁、おかず二品と漬物!
懐石料理の一汁三菜と同じですね。
折水器(せっすいき)と生飯器(さばき)と台拭きです。
折水器は、お茶の道具の建水と同じ用途で使います。
朝食と昼食の時は、ご飯を食べる前にご飯粒(生飯)を
少し分けて、後で小鳥などの動物にあげます
その生飯(さば)を取る容器を生飯器といいます。
器と箸を並べて、食事の準備が整いました
食事の前に般若心経を読みます
修行道場では夕食の時にお経を読みませんが、
ここでは慣れるために読むそうです。
ポテトサラダを冷ますために扇風機が回っていました
和尚さんから教わった通りに、給仕係の子供がごはんを
よそっていきます
合掌した手をこすって合図をします
食事を残すことは出来ませんから、自分で食べられる量を
最初に判断しなければいけません
ご飯の次は味噌汁です。
汁をよそるのは、ご飯よりも緊張してしまいますね。
三日の間に順番で、給仕の当番が回ってきます。
みんな真剣に見ていました
最後に漬物を配ります。
この他にも日頃の生活で経験しないといけないことを
体験しながら、大切なことを学んでいきます
食事の途中にもご飯とみそ汁の給仕を行います。
給仕係が手を差しのべると、おかわりをしたい子供は
合掌をします
いらない子供は頭を下げます。
食事は静かに行われて、給仕係は役目を終えてから
食事をします
食事を終えて夜の行事の前のひと時です
子供たちはトランプ遊びをして和んでいました。
厳しいところと楽しいところのメリハリをつけて
修養会の日程は進んでいきます。
現代の子供に対する教育は、学校教育も家庭教育も
「勉強をさせる事」ばかりに目線がいってしまっているとも
言われます。
人間が生きていく上で、勉強から学んだ「知識」は必要
ですが、それ以上に、人の中で培った《知恵》こそ
大事なものではないかと思います
具体的には、人と人の間で「ルールを守る事」や
「マナーを守る事」、そして「誰かのために」という姿勢、
そういった考え方(知恵)ではないかと思います。
つまり、他者を思いやり、配慮する気持ちを持てる事が
幸せにつながり、必要とされるという価値ある生き方に
なるのではないかと感じます
そういう意味では、子供たちにとって将来に役立つとても
良い機会になっていると思いますし、修養会に限らず、
地域の祭やコミュニティー、各団体の中での目的を
共有しての取り組みなどの大切さや必要性を感じました。
私自身はもう大人ですが、そういうことを大切にして
生きていきたいと思います
手入れの行き届いた庭ですね
剪定も和尚さんの仕事だそうです
機械のバリカンで手早く刈り込んだ樹木は、削いだような
切り口で、綺麗に新芽が吹かないそうです
しっかり研いだハサミで丁寧に刈り込むと、隙間なく新芽が
吹くそうです
人間も樹木もみな扱い方は同じですね!
こまめに丹精こめて手入れをしていかないと、いいものは
育っていきませんよね!!
このお寺の修養会の歴史は30年以上もあるそうです。
ここが好きになった子供は、冬休みも春休みも訪れて
お寺の生活を楽しんでいきます
また機会があれば訪問してみたいとおもいます
※懐石料理についてはコチラ↓
桃の節句 雛祭り
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※生飯(さば)についてはコチラ↓
いい寺★東林院で小豆粥
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