今回のいい町は・・・
1月16日 仏法はじめです♪
1月16日から、お墓参りや仏事が行われます。
夏には海水浴場として賑わう若狭湾の高浜町
この町を通る若狭海道から山に入った場所に
車持(くるまもち)地区があります。
連なる山々の裏側が、作家・水上勉の生まれ故郷
本郷村岡田です
日本海に近い雪深い寒村
この車持にある無住寺院・正法寺を訪ねてみました
ここは長い間住職の代わりに村人が協力して守って
きたお寺です
明治時代の一時期、水上勉の著作した「破鞋(はあい)」
の主人公・雪門玄松和尚が滞在したこともあります
雪門玄松和尚は、哲学者・西田幾多郎に禅の指導をし
禅学者・鈴木大拙が禅を学ぶきっかけとなった和尚です
雪門玄松和尚の存在を知った水上勉はその足跡を
調べる中で、廃仏毀釈の嵐が吹く受難の時代に
近代宗教界の礎を築いた和尚で
この若狭地方の出身者が多いことも学びました
そのことがきっかけで「五番街夕霧楼」「雁の寺」
「白蛇抄」と宗教界の暗い部分を描いた作品から
離れ、宗教を正面からとらえるようになったそうです
厳しい環境のなかで出家した和尚
苦難を乗り越えて布教をする和尚
京都などの観光寺院とは違う姿が地方にはありました。
仏法はじめの朝、参詣者が転ばないようにと
当番の檀家さんが除雪をされていました
雪に覆われていたお地蔵様は顔を出し
大晦日から閉ざされていた御堂も掃除をして
ほこりを払います
この一年のご加護を願い毘沙門天に灯を点けて
お香を焚きます
「今日から寺の一年が始まります」
おばあさんの話を聞き、本堂に上がりました。
今日は、高浜の本寺から和尚さんが来て歳の初め
の先祖供養を行うそうです
法要が終われば、持ち寄った手作りの食事を囲んで
宴が始まります
ここには雪門玄松和尚の存在を知る方は誰も
いませんでした。
臨済宗・国泰寺派の管長を務め、西田幾多郎、
鈴木大拙に禅の指導を行い、山岡鉄舟の葬儀の
導師を務めた和尚も時が経つ中で人々の記憶から
忘れ去られてしまったのでしょうか・・・
しかし、忘れられても、住職がいなくても・・・
村人の信仰は受け継がれていく、そんな村でした。