今回のいい町は・・・
大飯町岡田の「若州一滴文庫」です♪
雪晴れの若狭・大飯町(現おおい町)
水上勉の生まれ故郷・岡田へ向かって竹林の小道を
歩いて行きました
「若州一滴文庫」は作家・水上勉が地元の児童に
自身の蔵書を解放し、本に触れてもらうために
造られた施設です
貧しい生活のなかで家には電灯が無く、本が
読めなかった水上勉は京都での寺暮らしから
離れて、好きな文学の道に入り、人生の夢を
拾ったそうです
その恩返しにと子供たちへ蔵書を解放して、本から
何かを拾って人生を切り開いて欲しいと考え、この
思いが子供たちに届くことを願いました
ここには、昔を偲ぶ茅葺き屋根の古民家があり
暖を取る懐かしいダルマストーブが活躍して
いました
温かいそばを頂いてから施設内を散策しました
先日訪れた飛騨高山では、雪深い町に住む方々の
御苦労を目にしましたが・・・
冬の厳しい自然も雪晴れの日には、静かな時を
過ごせますね
本館には水上作品にゆかりの深い作家の絵画作品
ギャラリーや約2万冊の蔵書、若狭出身の禅僧を
顕彰する資料が展示してありました。
若州竹人形ギャラリーには、水上作品の登場人物が
竹人形となり本から飛び出し、文学作品が立体的に
感じられます
水上勉が心打たれた大飯町大島出身の禅僧・
義山善来
大島は井戸水だけが頼りの枯れた土地でした
和尚は岡山の修行道場で
「一滴の水も粗末にしないで活かすように」と
弟子達を指導しました
その教えは脈々と流れ大河となって、作家・夏目漱石や
禅学者・鈴木大拙へと伝わり、「曹源の一滴水」として
今に受け継がれています。
これが「若州一滴文庫」とついた名称のいわれです
竹の紙に書かれた言葉が飾ってありました
水上勉は晩年「竹泥山人」と号し、地元の赤土を
掘って茶碗などの作品を焼き、竹紙をすいて絵を
描く活動をしていました
大飯町・佐分利出身の渡邉 淳(すなお)は水上勉の
「わが山河」の装丁を手がけたのを手始めに、以降
水上勉著作の70冊に及ぶ装丁を担当しました。
水上勉の著作の挿絵を描き、若狭「一滴文庫」の
創設に参加し、館内には竹紙に描かれた「昨秋」
「ランプの詩」と素晴らしい作品があります。
若狭の自然が、自然のぬくもりを感じさせる陶器と
なり、竹の和紙は独特のあたたかみを感じさせる絵
となりました。
水上勉は、故郷の自然に生かされていることを
肌で感じていたのでしょう。
水上勉は一滴文庫の開設に自ら汗を流し整備に
あたったそうです
文学にとっての一滴の水
一冊、一冊の本を活かすために、子供たちへの
夢を託してのことだと思います
トンネルの向こうに光が見えてきました
自分にとっての「一滴の水」
見つかるかしら!