今回のいい寺は・・・
相国寺・瑞春院(雁の寺編)です♪
水上勉の小説『雁の寺』の舞台となったお寺として有名です★
水上勉は貧しい大工の家に生まれ、口減らしのためにこの
お寺にやってきました
9歳で弟子入りして13歳までの4年間、瑞春院で小僧生活を
しました。
親元を離れて禅寺での生活ですから、相当辛かったでしょう。
朝5時の庭掃除から始まり、廊下の拭き掃除・・・
あまりの辛さに何度も逃げ帰っているのだそうです。
雁は越冬のため、秋に飛来する渡り鳥です。
「秋の日は釣瓶落とし」というように、飛来する頃には、
日の暮れるのが早くなります。
風が冷たい季節となってきますね。
京都は底冷えしますから、薄暗く寒い寺での生活は辛く
寂しかったでしょう。
これが小説『雁の寺』を書くきっかけとなったガンの親子の襖絵です。
・・・でも実はこの鳥はガンではなくて「孔雀」です。
水上勉はこれをガンだと思い込んでいたそうです。
厳しい小僧生活の中で、親子の孔雀の絵を見て母親の温もりを
恋しく思う気持ちと重なり、小説『雁の寺』が出来たのだと思います。
母子の絵を見て寂しくなったのか、何度も逃げ帰ったそうです
昭和57年に小説を映画化する時に何十年かぶりに訪れたそうです。
背を向けて逃げたお寺だからなのか、作家になってから訪れる事は
無かったそうです。
拝観者用に四方の襖が外してありましたが、本来は孔雀の襖絵で
囲まれた仏間だそうです。
くじゃくはよこしまな心を表すそうです
『邪悪な心を捨てて拝観しましょう』という意味でしょうか★
水上勉はこの絵をガンだと思い込んでいたから『雁の寺』が
完成しました。
ところが、昭和52年の再訪時に、雁では無く孔雀の親子だった事、
隣の上官の間には実際に「雁」の襖絵があった事を知り、
とても驚いたそうです
当時小僧は師匠の部屋への入室が許されなかったのですね。
京の冬の旅では素敵な庭園を眺め、雁の襖絵を拝見でき、
水上勉が小僧生活をした当時を偲ぶ事ができます。
他にも通常公開していない貴重な場所を拝観する事が
できます♪
水上勉は『雁の寺』に続き『金閣炎上』、『五番町夕霧楼』、
『沙羅の門』と世俗の波に打ち砕かれる出家者や家族を
テーマにした本を出しています